文書電子化コラム

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正しく知りたい「e-文書法」ガイドライン

デジタル技術が進歩して、電子書籍やペーパーレス化といった概念が一般的になりました。企業が取り扱う請求書や納品書などの書類も例外ではなく、文書電子化の取り組みが活発化しています。

この文書電子化に関する法律を「e-文書法」と言い、対応可能な文書や満たすべき要件などが定められています。文書電子化の際にはe-文書法に抵触してはならないため、事前に概要を把握しておく必要があります。ここでは、e-文書法の概要をご紹介していきます。

e-文書法とは

2005年に施行された「e-文書法」とは、法人税法や保険業法、証券取引法など約250の法律において、紙での原本保存が義務付けられている文書の電子化を容認する法律のこと。

元々は、e-文書法に先行して施行された1998年の「電子帳簿保存法」というものがあります。当時、IT化が進む時代の流れに則り、税務・会計処理分野においてもIT技術を活用したいという要望が各産業から寄せられました。そこで国税関係帳簿書類に限り文書電子化を容認する、電子帳簿保存法が成立したのです。しかし、この法律はあまり浸透しませんでした。

電子帳簿保存法が普及しなかった理由の一つに、初めからコンピュータ上で作成した文書のみが電子保存の対象とされたことがあげられます。元々紙で保存していた文書は、電子化の対象外となっていたのです。

そこで、紙の文書をスキャニングする文書電子化も容認する法律として、e-文書法が生まれました。e-文書法では国税関係の書類に限らず、保存が義務付けられているすべての書類が対象となっています。

e-文書法と電子帳簿保存法の大きな違いは、電子化にあたり承認を必要とするかどうかという点にあります。電子帳簿保存法で規定されている国税関係の書類を電子化する場合は、税務署長などから承認を受けなければなりません。一方、e-文書法は承認を得る必要がありません。国税関係の書類を取り扱う際は、注意してください。

▼参照元:経済産業省発行資料
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/e-doc/guide/index.html

 

e-文書法の規制緩和

e-文書法や電子帳簿保存法は、時代の流れに沿ってより対応しやすいよう規制が緩和されてきています。2015年からは施行当時から以下のように変更されているので、文書電子化に対応できる企業も増えています。

・電子署名が不要に
・契約書や領収書の金額が無制限に(以前は3万円未満)
・スキャナ保存の際、グレースケールでの保存も可能(以前はカラーのみ)
・対象書類から付随して発生する関係帳簿の電子化の事前承認が不要に
・タイムスタンプを24時間以内に付与する必要がなくなり、業務の実態に応じてタイムスタンプに対応する時間を内部規程で定められるように

 

電子化が可能な文書の例

e-文書法で電子化することを容認されている文書の代表例は、以下の通りです。

・会計帳簿
・証憑書類(相手方から受け取った見積書、注文書、契約の申込書、送り状、納品書、検収書、請求書、契約書・領収書の一部等。自己の作成したこれらの書類の写し)
・振替伝票
・営業報告書
・財産目録
・事業(業務・事務)報告書
・付属明細書
・組合員(会員、加入員)名簿
・議決権行使書
・規約等
・資産負債状況書類
・社債権者集会議事録・謄本
・社債原簿・謄本
・総会議事録(創立総会含む)
・取締役会議事録
・定款 など

文書ごとに保存の要件は異なるため、内閣官房IT担当室の一覧表から確認することをおすすめします。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/syourei.pdf

 

e-文書法で満たすべき要件とは

e-文書法で文書電子化する際は、一定の要件を満たしている必要があります。その要件を具体的に見ていきましょう。

1.見読性―出力した際に見やすいように

文書は見やすい状態で電子化しなければなりません。ディスプレイやプリンターで表示・出力した際にも、記載されている情報が明瞭に見える状態にしておく必要があります。解像度の目安としては、150dpiとされています。

2.完全性―保存義務期間中に消去や改ざんがされないように

紙に比べると、電子データはコピーや改ざんが容易になってしまいます。また、紙は金庫に保管することで物理的に盗まれるリスクを低減することができます。

一方、電子データはしっかりとした対策を取らないと、サイバー攻撃などの外的要因や誤操作による情報流出などの内的要因で、改ざんや流出のリスクが高まってしまいます。そのため、セキュリティ対策を万全にし、安全な場所にバックアップを取っておくなどの措置を講じることが義務づけられています。

3.機密性―外部から閲覧されないように

文書を閲覧する権限のない外部の人間がアクセスしたり、サイバー攻撃などを受けたりしないように、機密性を保持する必要があります。そのため、万全なセキュリティ対策を講じ、いつ、誰が、どの電子文書にアクセスしたかを把握できる状態にしなければなりません。

4.検索性―目的の電子文書をすぐに検索できるように

税務調査などの際に、必要な文書へ確実にアクセスできる状態にする必要があります。ファイル名からの検索だけでなく、体系的にデータを保存することで、検索性を向上させることが可能です。

電子文書化のメリットは大きいですが、経理や総務の担当者が、e-文書法や電子帳簿保存法で決められた要件をすべて把握することは中々に困難でしょう。

スキャンブリッジなら、これらの法律に則った電子文書化を実現させます。電子文書化を検討されているなら、お気軽にお問い合わせください。

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